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Vol.08

issue1

エッセイ
〜自分自身を紐解いてみる〜

今号はエッセイ集風に9つのテーマに沿って私の考えをまとめてみました。様々なことが転換期を迎えている今だからこそ、異なった視点を楽しんでもらえると嬉しいです。

あなたの仕事スイッチは?

 新型コロナウイルスが流行し、一気に広がったテレワーク。テレワークをされている方はどうやって気持ちの切り替えをしているのでしょう。
 環境を変えたりはせずに、自分で集中力をコントロールする翻訳の仕事をしている友人。パソコンの電源で切り替えている知人。時間で区切ってメリハリを付けている妹、と人それぞれスイッチがあります。
 私は、仕事に行く日と同じように着替えて、メイクをすることでスイッチが切り替わります。私の場合、急に外出しなければいけない状況に備えて、という理由もありますが…。
 「テレワークと上手に付き合うポイントは、スイッチの切り替えにあるはず!」と思い立って、効果のありそうな切り替え法を発見したので、いくつかご紹介します。
 「仕事前にシャワーを浴びる」「家族が立ち入らない仕事専用部屋で仕事をする」「スマホの通知音を切る」など、どれも仕事が捗りそう。「作業へ行く日と同じ服を着る」と私と同じ切り替え方法の方もいらっしゃいました。
 皆さんも自分に合った気持ちの切り替え法を見つけてみてくださいね。

わかりやすさの罪

 「勝ち組・負け組・肉食系・草食系・〇〇女子」という言葉。これらの言葉に違和感がありませんか?実は、これらの言葉には、企業マーケティングが関わっています。
 例えば「〇〇女子」という言葉。企業は、この言葉を使って「世の中にはこんな人がいて、こんなものを買っていますよ!」と仮定して宣伝をします。分類することは、私たちに安心して、ものを買いやすくさせるための一つの策なのです。
仕事上、分類せざるを得ない時だってあると思います。しかし、そこにレッテルを貼ったりしてしまうと偏見や誤解が生まれたり、嫌悪感を抱く要因になったりします。分類された言葉で相手をそのまま捉えるのではなく、コミュニケーションを通じて理解することが大切だと思います。もしかしたら今まで見えなかった相手の意外な魅力に気付けるかもしれませんね。私は〇〇系でも〇〇女子でもなく、私はわたし。
 このテーマに合うオススメの書籍を2冊ご紹介します。武田砂鉄さんの「わかりやすさの罪」、「紋切型社会」。どちらの書籍も現代に生きる私たちに響く内容です。ご興味がありましたら、ぜひお読みください。

さかなクンが好き

 以前、さかなクンの記事「人間の世界は、さかなの世界と似ている」を読んだことがあり、彼の考え方にとても共感しました。
 『メジナは広い海の中では仲良く群れて泳ぐけど、狭い水槽に一緒に入れたら、1匹を仲間はずれにして攻撃し始める。いじめられている1匹を別の水槽に移しても、また新しいいじめられっ子が出てくる。』といった文章があります。
 クラスや部活などの小さなコミュニティに所属すると途端に起こるいじめ。いじめられている当の本人は居場所がないと感じ、疎外されたと孤独を感じます。これは子供だけでなく大人にも起こることです。その場合は、視点を一歩引いて全体を見てほしい。見えていないだけで、外にはたくさんの居場所があります。小さな世界で悩んでいないで、広い世界に逃げて良いのです。自分を守ることを第一に考えると、逃げることは悪いことではありません。
 『息子を信頼し、いいところを思いっきり伸ばす』これはさかなクンのお母様の子育て方針。彼の人柄の良さは、現在の活躍ぶり、子育て方針からも伺えます。
 好奇心を受け止めて肯定的に捉える姿勢が大切だということを、さかなクンのお母様から学びました。私はさかなクンの考え方が好きで、さかなクンのお母様のような人になりたい。

弱みは強み

 ここ数年で頻繁に耳にするようになった「マイノリティ」という言葉。思い返せば、私の幼少期は「マイノリティ」だったのかもしれません。もともと人と群れることが苦手で、周囲と話が合わないと感じる時期も多々ありました。
 学生時代のカナダ留学で学んだことは「マイノリティ」は決してマイナスではないということ。英語が話せないうちは積極的に自分から話しかけることがなかった私(日本人)。対して、自己主張が強く、正しい文法がわからなくても積極的にコミュニケーションを取っていた他国の子。
 同じクラスに様々な国籍の子が混じると、カナダの中では留学生の誰もが「マイノリティ」なんですよね。それでも気にせず積極的に話していたのを目の当たりにした時に、「マイノリティ」って実は存在しないのではないか。私は「マイノリティ」ではなく「普通」なんだ、と気付かされたのです。
 ここで、1冊の書籍をご紹介します。澤田智洋さんの「マイノリティデザインー弱さを活かせる社会をつくろう」。澤田さんは、『弱みやコンプレックスは、克服しなければならないものではなく、活かせるもの』と私たちにメッセージを残してくれています。
 人は誰しも、得意不得意はあります。自分の弱みを受け入れて、誰かの強さと組み合わせた時に、自分の弱みが強みに変わるかもしれません。お互いを肯定し、尊重し合える関係を築いていけたらいいですね。

お酒について語ってみる

 この原稿を書きながら、今宵もお酒を飲んでいる私。「ビールのない夏は考えられない!」と思うほどにお酒が好きで、大切なライフスタイルです。
 その理由は3つ。
 1つ目はクラフト要素にあります。醸造家さんが手作りするクラフトビール。作り手の思いやビールの背景を知りたいが為に、わざわざ醸造家さんに話を伺いに旅行することもある私。それは、「自分自身の手で0からものづくりを楽しむ」を目的としているDIYとも共通していると感じます。「手作り感に触れて、楽しむ」ことがお酒にも共通しているクラフト的な視点です。
 2つ目は、飲むことで頭が冴えるから。自分を俯瞰的に見られ、普段は思い浮かばないような良いアイデアが思い浮かぶこともあります。
 3つ目は、自分自身と会話をするため。お酒を飲むことで、仕事中や人といる時の普段は現れない自分と会話をすることができて、新しい自分を見つけられることもあります。
 私にとって、なくてはならないものの一つのツールがお酒。
 実は、アルコールで創造性が高まることも証明されています!ほろ酔い状態が一番脳はリラックスするのだとか。泥酔してしまうと、創造性が高まるどころか0になるようなので程々に…。

断捨離は感情不要で望むべし

 整理整頓が苦手な私は、過去に整理収納アドバイザーの勉強会に参加したことがあります。そこで学んだ整理の仕方をご紹介します。
 まずは、片付けたい部分だけ、棚からものを全て出して空にします。出したものは感情不要でシステム的に「毎日使う」「週に数回使う」「月、年に数回使う」「まったく使わない」の4つに仕分けるだけ。ね、簡単でしょ?
 「毎日使う」、「週に数回使う」に入っているものが、あなたにとって今の暮らしに本当に必要なものなのです。定期的に行うことで、ものを買う上での自分なりのルールが見えてきますよ。買い物の失敗も減らせるなんて、一石二鳥です!
 必要なものだけを手元に置いて、シンプルで自分らしい暮らしを楽しんでくださいね。

偶然手に取った漫画
「プリンセスメゾン」

 偶然手に取った漫画「プリンセスメゾン」。主人公は居酒屋チェーン店で働く独身女性。そんな主人公が、夢を見ながらも切実に、生き方や家への想いを考えながら理想の家を求めて、様々な物件を巡り歩くストーリーです。
 主人公は至って前向きだけれど、両親、キャリア、結婚、子供のことなど、リアルな話も多く、ハッピーでコミカルさは感じられませんでした。
 女性が自分で家を持つというテーマに興味がありましたが、漫画内で使われていた「持ち家女子」という言葉に引っかかりを感じた私。調べてみたら、なんと有名企業のコンテンツマーケティングが絡んでいたことを知り、少しガッカリしました。2019年にウェブサイト「モチイエ女子web」は閉鎖しており、このマーケティングは失敗だったのかもしれません。
 マンションではなく、戸建だったらストーリーは変わったのでは?と思う私でした。

SNSとペットと犬語

 いろいろと問題の多いSNSですが、私は小さなオアシスのような空間だと思っています。
 電車の中やどこでも携帯電話とにらめっこしている現代人のように、同じ空間で同じような人が多くいます。SNSは既に大事な現代のコミュニケーションツールです。否定的に捉えられがちですが、きっと「1人だけど1人ではない」、そんな空間を求めている人たちが世の中にはたくさんいるのです。
 とはいえ一人暮らしや一人でいるときは孤独を感じるもの。ペットがいれば孤独を感じにくく楽しく暮らせますが、一人で動物を飼うことのリスクや場所によっては不可の場合も。そこで、SNSでペットの写真を共有することで、自分と似たような人たちと繋がることができます。リアルではないけれど、ネット上にサードプレイス(第三の居場所)を求めている方が集まっているのがSNSなのでしょうね。
 とそんな事を考えていたら、犬語を発見しました。可愛らしいので、下にいくつか載せておきます。(猫語もあったので気になる方は調べてみてくださいね)

自分の居場所

 CRAFT BASEは、ものづくりのサードプレイス(第三の居場所)として、2016年にオープンしました。
 オープンするにあたって、ベースにしたのは「ポートランドのDIY精神」。「欲しいものがなければ、自分でつくろう」というDIY精神がアメリカのポートランドにはあります。例えば、「花屋さんだから花しか販売しなければいけない」ということはないのです。そこにはカフェが併設されていてもいい。ものづくりを通じてコミュニケーションが取れる場所を地域に作りたかったんです。
 現在、CRAFT BASEで定期開催しているワークショップでは、ものづくりのサードプレイスを求めている方の参加が多く、これまでたくさんの方々と出会うことができました。
 東伏見にオープンして5年目に突入。今後もこのスタンスを軸に、色々なことに挑戦していけたらいいなと思い、現在は新たな試みとして「リサイクル市」を構想中です。
 ものづくりのサードプレイスとして、CRAFT BASEへどうぞお気軽にお立ち寄りください。