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今年の夏と災害を考える

昨日3月11日は東日本大震災があった日でした。あの時、南海トラフ周辺や関東はいつ大きな地震が起きてもおかしくないといわれてから8年。その間に熊本や大阪、北海道でも大きな被害をもたらす大地震が発生しています。防災への知識を高めることの重要性は昔から言われていますが、果たして地震に対する防災だけで十分でしょうか?

災害を考えると地震だけではなく、大雨や強風でもたくさんの自然災害による被害がもたらされています。去年の異常な夏の暑さはまだみなさん記憶に新しいと思いますが、その後9月30日の大型台風によって西東京でも被害が多く発生しました。今回はその時に出てきた様々な「予想外」を考えながら住まいの防災を考えたいと思います。

 

増えてきた「予想外」

災害への対応はどうしても未経験のことを予防するための意識が向きにくく、事後対応に追われることが多いです。一昨年ぐらいからは大雪による水道管の凍結が原因の水道管破裂が頻発したり雨樋の損傷が起こりました。逆に夏の終わりは大型台風の関東上陸による、屋根の被害や外壁、ガラス等の損傷が目立ちました。大雪や台風は今までに何度も経験していますが、年々その規模が大きくなっているように感じます。同時に被害も多くなった時に「予想外」なことが起こります。昨年の台風を例に説明したいと思います。

1つ目は予想外の被害です。想定を上回る強風によってモノが飛んできて何かが壊れたり、屋根の板金や瓦が飛ばされたことです。今までは台風による被害がここまで大きく、多いことはなかったので予想できなかった方も多かったのではないでしょうか?

屋根板金の軒先部分が風に煽られて捲れてしまっているところ

瓦以外にも雨樋や外壁の一部まで破損

屋根棟板金が外れてしまって下地の木材がむき出しになっているところ

 

2つ目は、職人不足・商品品薄の予想外。今回の台風では屋根板金の剥がれや瓦の破損が目立ったので台風直後から板金屋さんと瓦屋さんはスケジュールがいっぱいに。職人さんたちの数が減ってきていることもあり今回は2~4カ月程度お待ちいただきました。合わせて工事が長引いた理由はもうひとつ。工事に使う部材の欠品です。同じ時期に同じような工事が増えたため、屋根の棟板金やベランダ等で多用されるポリカ波板等の商品の欠品が相次ぎました。これは大雪で水道管破裂の被害が多かった時も同様に保温ヒーターが品切れになった経緯があります。どちらも建築資材の中では常時使用する部材ではないので生産量が多くないということも理由のひとつだと思います。

 

備えるという意識

とは言っても今回の住宅への予想外の被害は定期的なチェックとメンテナンスで防げるものも数多くありました。例えば戸建ての場合、屋根板金が飛ばされたのは本来板金を止めている釘が錆びたり、下地の木材が経年劣化で痩せて浮いていた為に今回の強風で煽られて飛ばされた可能性が高いです。今回の被害の中にはマンションの鉄製の重い点検口が飛ばされたケースもありましたが、これも錆びていたために脆くなり風に煽られたようです。釘の浮き等は打ち直した後にコーキングで飛び出ないような簡単な処置を事前に行っておくだけで全く違います。(修繕の場合一般の方には高所は危険なので、必ず専門業者にご相談くださいね。)

屋根棟板金を止める釘が浮いてる状態

打ち直し・コーキング処理後

波板等も元々留めているフックがいくつも外れていて飛ばされた可能性が高いことも考えられます。被害が発生してから保険で修理すればいいという考えももちろんありますが、屋根などの雨漏りの不安に直結する箇所は早めに直したいものです。

フックがないカ所が強風で煽られたためはがれて割れているところ

しかし今回のように工事が集中してしまうとお待ちいただくのも長くなります。屋根に関しては専門業者による点検と釘打ち直しやコーキングなどの簡単な補修で防げたものもあります。大雪や寒さでの水道管凍結については事前の水抜きの作業や夜間水を出しっぱなしにしておいたり、暖かくなるまで水道を使わないなどの対策も簡単に出来ます。今後地震などの災害も起こることを考えると暮らしの備えも大事ですが、住宅の備えも大事になってくると思います。

 

 

自分の住まいに何かあった時の為に

災害によって受ける住まいの被害の内容や大きさは正直想定できません。だから十分な備えもどこまでやるのかって想像もできないと思います。住宅は暮らしの安全を担保するものでもあります。屋根は建物を雨風から守り、劣化するのを防いでいるので特に重要です。工務店としては今までの事例を踏まえてご自宅に常備しておいてほしいものがあります。災害が起きてからだと欠品することもあるので早めに用意しておくことをおススメします。

 

①ビニールシート(厚手)

これは地震で屋根の瓦が崩れたり、台風で屋根板金が飛ばされたり、何かしらの被害で建物の屋根を雨漏りから守る為です。雨漏り修繕には長期化することも予想されるのでできるだけ丈夫で大きなものを備蓄しておかれるのが良いと思います。材料さえあれば工務店や職人もなるべく早く応急処置に向かうことが出来ます。また屋根の大きさに合わず雨漏りを防げない場合は家の中の家具にビニールシートをかけて被害を増やさない方法もあります。ブルーシートを選ぶ際は4.5m×3.6m以上の大きさので番手が#2000以上のものが2枚あると充分かと思います。詳しくは下記のサイトご確認下さい。

モノタロウ ブルーシートのサイズと番手の見方https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/727/

 

②ダンボール・ガムテープ

地震や強風でモノが飛んできてガラスが割れてしまった場合、雨戸があれば一番良いですがない場合は防犯のためにも窓をふさぐ必要があります。ゴミとしてダンボールを全て処分してしまわないで大きめのものはいくつか取っておくとこのような状況でも役立ちます。これはあくまで応急処置なので本来はベニア等の固いものの方が好ましいですが、畳ぐらいの大きさの木材を置いておくのも運ぶのも大変なのでダンボールをおススメします。
ガムテープで固定ならプロを呼ばなくても作業できると思います。火災保険を利用したい場合は、応急処置の前に被害の写真を撮ることをお忘れなく!

強風でモノが飛んできて割れた窓ガラス

防災はなかなか毎日考えるようなトピックではないですよね。でも何かあってからでは遅い場合もあります。2月25日に発表された気象庁の今年の夏の予想は、例年以下の暑さが予想されているものの、昨年同様に西側では局所的豪雨が起こりやすく、高気圧が日本列島上空にかかりにくいため台風の通り道になってしまうことが懸念されています。記憶に残るような災害が起こった日にはいろいろ考える機会にもなるので、最低限の備えはして後悔のないように準備しておきたいですね。