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AMI日記、イベント、ショップ情報、店長のひとりごと、暮らし、生活雑貨

「くらすき」スタートします

NCBでは自主企画ワークショップとして地域の山から切り出した日本の木を使って、くらしにあるといいなと思う身近なプロダクトをデザインからしています。仕事も工務店ですし、そんなことでまわりから「木工が得意な人」と思われがちですが中学の技術の成績は「2」。得意からはかけ離れている店主Amiです。数字も苦手ですし、どちらかといえば向いていない方です。で、なんでそんな私が木を使ったワークショップを始めたのか、今日はちょっと真面目にご説明したいと思います。

 

あなたとくらしを手づくりします

今年の4月より、様々なイベントに出させていただく機会が増えまして、今までやっていなかった雑貨販売も始めました。これは作品を購入してもらいたいというよりは、作品を通じて今行っている活動をもっと知ってもらいたいという気持ちの方が強かったからです。

Nishitokyo CRAFT BASEはオープンしてから約1年半経ちました。お店のコンセプトは「ものづくりのワクワク感をシェアするコミュニケーションショップ」ですが、オープン当初から始まった木のワークショップにもコンセプトがあります。構想はあってもうまく言葉で伝えられず、なかなか形にできないまま時間が経ち今に至ります。当時から今までは「くらしのつくれる木のワークショップ」と題していましたね。考えとしては、暮らしの中に木があると心地よく感じるなら自分たちでくらしの身近にあるものを作ろうというのが始まりでした。ただ何かを作って終わりではなく、作ったものがその人と暮らしを共有できるような取り組みにしたかったのです。

私の主軸である工務店の仕事内容は物理的に家を建てたり、修繕したりすることですが、同時にお客様のくらしをつくるお手伝いをしていると考えています。皆さんの人生の大切な節目に関わることがあり、くらしを良くしたいという依頼が多いからかもしれません。工事の依頼を頂くのと同時に思ったことは、木造住宅でありながらお家の中に木を目にすることがずいぶん減ったと感じるようになったことです。日本の多くの住宅は木造住宅ですが、外観も内観もどうかはよく分かりません。木目風の合成はたくさん使われていて、実際「木が好きだ」「木部があると落ち着く」とおっしゃっていただく方は多いのに、なぜ家と人と暮らしがこんなにかけ離れているのだろうかと。

 

この取り組みを始めた背景は他にも様々な理由があるのですが、ただ消費するのではなく木のあるくらしを自分で作りたいという想いに繋がりました。自分たちの暮らしに「木であったらいいな」と思うプロダクトをデザインしてワークショップで作る。このすべてのプロセスを形にしたいと。

運よく昨年からNCBを会場にして毎月第3土曜日に行っている「Co-lab」のイベントを通してパーソナル アイデンティティデザイナーの赤川美奈子さんに出会い、この取り組みをリーフレットという一つの形にしていただくことができました。

打合せの中で私も内容を掘り下げて考える機会があり、自分だけでは整理しきれなかったことをとても素敵にまとめていただきました。ワークショップでつくるモノたちは、その後みなさんの生活の中で暮らす木になってほしいという想いからこの取り組みを「くらすき」と名付けました。そして最初のページにある通り私がやりたいことは「あなたとくらしを手づくり」すること。このリーフレットやイベントを機にくらしを手づくりする仲間と出会えるといいなと思っています。

 

木を楽しむ

この「くらすき」のなかで大事な要素でもあるのが木です。木材は世界中にあっていろんな材種があります。安くて手に入りやすいものという選択も出来ましたが、くらすきではほとんどの材料が静岡県天竜の杉とヒノキを使用しています。

理由は2つ。一つ目は日本の木を使うことで手入れして山をきちんと保全できること、そしてそれが林業を守ることにつながるからです。日本では伐採時期を過ぎた木々がまだ山に残ったまま林業を担う人が急激に減ってきて管理できない状態が多くみられます。様々な背景はありますが、とにかく日本の木を使わないことには山の木を切ることはできません。二つ目は地域材を使うことは伐採後も木が馴染みやすく、また輸送における環境への負担が少ないことにあります。日本国内でも北と南では環境が全く違います。今は製材や乾燥の技術が発達した為、製品として扱っているものに極端な違いはありませんが、それでも無垢材は反ったり割れたりしやすいのでなるべく同じ環境にある木で品質のいいものを選んでいます。昔の家づくりも地域材を使用することが良いとされてきました。建物になれば30年以上はそこにいるわけですから、地域材を使用することは納得できます。

使用している天竜の杉とヒノキは自社で山を管理して製材まで行ってくださる材木屋さんから直接仕入れています。顔の見える存在にお願いすることも大事なことだと思います。山の木から木材になる為にはいろんな工程がありますし、それこそ職人さんが木を読んで適切に処理してくれるからこそ私たちが木材として使用することができるのです。

無垢材のおもしろさはやはり経年美化していくことにあると思います。劣化していくのではなく焼けて木の艶が出てきたり、汚れてもまたやすりで削ればきれいになります。手入れを楽しむことができるのは無垢ならではの特徴です。同時に合成の工業製品ではないので多少曲がったり、反ったり割れたり、季節で収縮したり膨張もします。でもそれを全部含めて無垢の良さや特徴なので「くらすき」では過剰な加工はせずにありのままで制作しています。大きな節があったりちょっと反っていたり、どのほかの物とも全く同じものは一つも存在しない面白さがあります。そういったことも全て含めて楽しんでいただけたら嬉しいですね!

「くらすき」のリーフレットはイベント時だけでなく店内でも置いてありますのでご自由にご覧くださいね!